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Posts by かどやひでゆき

馬場敬信著『歴史をたどってしくみを学ぶコンピュータ入門』

馬場敬信著『歴史をたどってしくみを学ぶコンピュータ入門』

馬場敬信氏の著書『歴史をたどってしくみを学ぶコンピュータ入門』を読みました。

ハードウェアの面では、コンピューターが動作する仕組みを「スイッチのかたまり」という基本原理までさかのぼって説明しています。複雑なものを複雑なまま理解するのは大変なので、まず原点に立ち返るという切り口は大切ですね。

ソフトウェアの面では、CPUが機械語をいかに処理するかをとても分かりやすく図解しています。もっとも、今の時代には知らなくても困らないのですが、もしもC言語を学ぶなら一読の価値があります。難所とされるポインタも、きっと難なく理解できますよ。

教養として中高生にもお勧めできる一冊です。

#読了 #技術書

5 days ago 16 0 0 0
塩崎省吾著『カップ焼きそばの謎』

塩崎省吾著『カップ焼きそばの謎』

塩崎省吾氏の著書『カップ焼きそばの謎』を読みました。日本を代表する焼きそば研究家による、カップ焼きそばのルポルタージュ。焼きそばの謎シリーズ三部作の完結編です。

北海道出身の私は当然ながら「マルちゃん やきそば弁当」を食べて育ちました。一方で、東日本では「ペヤング ソースやきそば」が、西日本では「日清焼そばU.F.O.」が圧倒的に人気。このような地域性が如何に生まれたのか不思議でしたが、そこにはメーカーの成り立ちや地理的な理由があったのですね。

カップ焼きそばの発祥や各メーカーの販売戦略など、過去の文献や関係者へのインタビューがまとめられており、歴史書としても価値ある一冊でした。

#読了

1 week ago 22 0 0 0

「警視庁異能処理班ミカヅチ」シリーズ、面白いですよね。孤独だった怜に仲間ができて成長していく姿は、まるで少年マンガの主人公のよう。

同じ内藤了先生の作品で「警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花」シリーズも空気感が似ていて、グロ控えめで面白いですよ。もし未読でしたら、おススメです。

1 week ago 2 0 1 0
高谷再著『この罪を消し去ってください』

高谷再著『この罪を消し去ってください』

高谷再氏の『この罪を消し去ってください』を読みました。第10回ジャンプホラー小説大賞で4年ぶりの金賞を受賞した作品です。

その女子高校ではAIが生徒をサポートしていた。
親友の月島藍奈が転落死して1年半。折原夜空の前に現れた新入生は藍奈の妹・果穂だった。果穂は姉と交わした〈お茶会〉と呼ばれる生徒会に入る約束を果たすため奔走する。一方、藍奈の死の真相を知る上級生たちは果穂を排除すべく行動を起こす。
AIは妹の「サポート」を開始した。

『2001年宇宙の旅』のHAL9000に代表される古典的なAIの恐怖を描いていますが、そこに学園ものと百合要素を組み合わせたのは異色で目新しいですね。

#読了

1 week ago 20 0 0 0
久永実木彦著『雨音』

久永実木彦著『雨音』

久永実木彦氏の『雨音』を読みました。

大学で起きた銃乱射事件により多くの仲間を失った映画同好会の生還者が、事件をドキュメンタリー映画として記録することを決意する。取材を兼ねて出席した追悼式に現れた女性は丈の長い黒いワンピースに真紅の女優帽という場違いな服装で、立ち去ったあとには挑発するような一発の銃弾が置かれていた。

物語の発端こそ衝撃的な事件ですが、本書は切ない恋愛小説でした。今井喬裕氏の装画は、儚いヒロインをよく表現しています。
最後まで淡々とした文章の運びがとても印象的で、ヘミングウェイの『老人と海』を思わせますね。

読了後にプロローグを読み返すと、なるほどと唸りますよ。

#読了

2 weeks ago 22 0 0 0
ブライアン・カーニハン著『カーニハンのUNIX回顧録』

ブライアン・カーニハン著『カーニハンのUNIX回顧録』

ブライアン・カーニハン著『カーニハンのUNIX回顧録』を読みました。

コンピューターに特段の関心がなければ、UNIX(ユニックス)という名前をご存じないかもしれません。UNIXとはOSの名前で、有名なOSであるWindows(ウィンドウズ)はきっとご存じでしょう。

あまり知られていないUNIXですが「世界の全てのスマホを動かしているのが、実はUNIX系のOSなんです」と言ったら、驚かれるでしょうか。

本書は、人知れず世界を支えるUNIXがどのような環境で生まれ、何が革新的だったのかを、カーニハンら当時の開発者たちの言葉で記録した歴史書です。
現代においても学びの多い一冊でした。

#読了

3 weeks ago 15 0 0 0
田中空著『忘らるる惑星』

田中空著『忘らるる惑星』

田中空氏の『忘らるる惑星』を読みました。

脳から記憶を読み取る技術が確立した未来。人間による裁判はなくなり、AIが瞬時に正確無比な判決を下すようになっていた。AIの判決を人間自身の目で検証する仕事をしているミカサは、発生日時に確かにその場にいて目撃しているはずの殺人事件のレポートを目にする。覚えのないミカサは検証を開始するが、直後に命を狙われる。

実写映像としてイメージすると違和感のある世界観なのですが、少年マンガとしてイメージするとすんなり入り込めました。調べると著者は少年ジャンプ+で連載を持つ漫画家さんらしく、なるほど納得。

夏休みの子ども向けアニメ映画のような一冊でした。

#読了

1 month ago 19 0 0 0
スティーヴン・キング著『ランニング・マン』

スティーヴン・キング著『ランニング・マン』

スティーヴン・キング著『ランニング・マン』を読みました。

近未来。
「この人と生涯を添い遂げる」。伝統的な結婚の誓いを立てたために体制側から反社会的人物と見なされたベン・リチャーズは職にあぶれ、肺炎で苦しむ一歳半の娘を医者に診せられずにいた。ついに治療費を工面するため生存率0%の逃走ゲーム「ランニング・マン」に参加することに。

シュワちゃんの映画『バトルランナー』の印象が強い本作ですが、原作は詩人ユウェナリスの言う「パンとサーカス」で飼いならされた民衆の中から立ち上がり、体制側と戦う普通の人々を描いた物語でした。

眉をひそめる痛々しい描写があり、苦手な方はご注意を。辛かったあ。

#読了

1 month ago 15 1 0 0
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内藤了著『凶変』

内藤了著『凶変』

内藤了氏の『凶変』を読みました。警視庁異能処理班ミカヅチシリーズの第8弾です。

警視庁異能処理班ミカヅチとは、警視庁本部の地下を間借りしている警察庁の研究施設――というのは表向きの扱い。実際は怪異による事件を一般人に知られないよう隠蔽し、怪異の痕跡を消すための組織です。いわば怪異版の『メン・イン・ブラック』ですね。

心優しい霊能力者の青年、安田怜がミカヅチのメンバーとなって1年。シリーズはいよいよ佳境に入り、「そのとき」は目前に迫っているようです。
警視庁本部庁舎の地下三階にあり、ミカヅチの使命のひとつとして守り続けている「扉」の謎も一部明かされました。
次巻 ついに、扉が……?

#読了

1 month ago 16 1 0 0
トム・ミード著『空に浮かぶ密室』

トム・ミード著『空に浮かぶ密室』

トム・ミード著『空に浮かぶ密室』を読みました。『死と奇術師』に続くジョセフ・スペクターシリーズ第2弾です。

1938年のロンドンが舞台。観覧車の中で射殺された夫と、銃を手に犯行を否認する妻。衆人環視のマジックショーで「魔法の箱」から出現した第二の死体。鍵のかかった部屋で、拳銃を手に接着された男と、第三の射殺体。
解決の手がかりはすべて本文中にある。

ディクスン・カーやエラリー・クイーンを思わせる黄金時代風の推理小説でした。解答編で手がかりとなる箇所のページ番号が注記されているのは現代的。

苦笑いするような強引なトリックでも、推理ゲーム、頭の体操と割り切って楽しむのが正解ですね。

#読了

1 month ago 19 0 0 0
内藤了著『SOUL』

内藤了著『SOUL』

内藤了氏の『SOUL』を読みました。鳴瀬清花シリーズの第7弾です。

死刑が確定した後も反省の色を一切見せない西口治ですが、ある写真を見た途端に殺人の余罪を告白し、教誨師に死者を供養してやってほしいと依頼します。
西口の心に生まれたのは贖罪の念か、それとも……。

「神隠しに冥婚に人狼に雪女、山の神に吸血鬼、それで今度は幽霊ですか?」とは作中のセリフ。オカルトや怪異に見えて実は違うのが本シリーズの面白さですが、今回は本当に怪奇現象が起こったように見えますね。

シリーズ過去作と比べて本作は多くの謎が残り少しモヤモヤします。
ですが、読了後には誰かと考察で盛り上がりたくなる一冊でした。

#読了

1 month ago 16 0 0 0
キャリー・ハート著『クイックシルバー 上』

キャリー・ハート著『クイックシルバー 上』

キャリー・ハート著『クイックシルバー 下』

キャリー・ハート著『クイックシルバー 下』

キャリー・ハート著『クイックシルバー 上・下』を読みました。近年アメリカで人気の「ロマンタジー(ロマンス×ファンタジー)」と呼ばれるジャンルの作品です。

謎の金属「クイックシルバー」を通って妖精や精霊が暮らす異世界へ渡った人間の女性セアリスは、妖精とヴァンパイアとの戦争に巻き込まれます。妖精のキングフィッシャーは戦争の切り札としてセアリスを利用しますが……。

読み進めると二人が理由もなく惹かれ合うように見えて違和感を覚えるかもしれませんが、最後に二人の関係をめぐる壮大な仕掛けが明かされます。

青依青さんの幻想的な装画の雰囲気に反して性描写はかなり過激なので、苦手な方はご注意を。

#読了

1 month ago 16 0 0 0
ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー』

ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー』

ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー2』

ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー2』

ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー3』

ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー3』

ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー』1〜3巻を読みました。スコットランド最大の古書店を営む店主による日記シリーズです。

著者はクリスマスの帰省中にふらりと立ち寄った古書店を、ローンで衝動買いしてしまった変わり者。周囲もまた一癖ある人物ばかりで、あいさつ代わりに店主へ中指を立てる店員、お手製のステッキと本を物々交換する常連の入れ墨男、一見の客までもが実に個性的。
本シリーズは、そんな古書店でのリアルな日常を皮肉の効いたぼやきとともに綴ったものです。

なぜか読んでしまうのは、インターネットの黎明期に流行した個人のウェブ日記を追いかけるような面白さにあるのかもしれません。

#読了

2 months ago 20 0 0 0
鈴木潤著『Jホラーの核心』

鈴木潤著『Jホラーの核心』

鈴木潤氏の著書『Jホラーの核心』を読みました。映像文化論、メディア論の研究者であり、筋金入りのJホラー愛好家による論考です。

世界的にも評価が高く、『変な家』や『近畿地方のある場所について』などのヒットで再び注目を集めているJホラー。本書では、その日本独特の恐怖の仕組みを「ビデオ」「家」「女性」「都市伝説」「フェイクドキュメンタリー」というキーワードから分析しています。

特に重要なのは、視聴者に「当事者意識」を持たせる工夫なのだと理解しました。つまり「ビデオを観ると呪われる」というビデオを観ている自分は、果たして安全な場所にいるのだろうか、という不安感を煽るわけですね。なるほど。

#読了

2 months ago 18 0 0 0

@kadoya.bsky.social 氏に触発されて、まずは第1弾から。信は『まこと』と読むのですね。

すでに第一線を退いた学者が、あるきっかけから人類の存続を脅かす危機に立ち向かうことに。主人公が10代の少女ならありがちな設定ですが、シニアならではの苦労が滲み出る展開はきわめて新鮮。『シニアだけに新鮮』なんか不思議な語感。

フィジカルが要求されるシーンは若者の助けを借りたり、三人寄れば文殊の知恵よろしく老人三人が額を突き合わせて謎を解いたり。何より研究の虫たる主人公の魅力が随所にみられて、とてもおもしろかったです。

#メデューサの首
#微生物研究室特任教授・坂口信
#内藤了
#読書

2 months ago 5 1 1 0
五条紀夫著『殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス』

五条紀夫著『殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス』

五条紀夫氏の『殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス』を読みました。名作「走れメロス」にミステリーとコメディを融合させた一冊です。

プロットは原作どおりですが、本作のメロスはそうでなくとも忙しい処刑までの三日間に次々と殺人事件に出くわします。メロスはミステリーの王道トリックを解きながら、友のもとへと走ります。

思えば「走れメロス」には多くのオマージュやパロディがありますね。元を辿れば古代ギリシャの伝説「ダモンとピュティアス」に行きつきますが、友との約束を果たすため命をかけて走る話は、いつの時代でも心を打つのでしょう。

もし私ならば……戻らずに将棋を指しているかなあ。

#読了

2 months ago 13 0 0 0
関元聡著『摂氏千度、五万気圧』

関元聡著『摂氏千度、五万気圧』

関元聡氏の『摂氏千度、五万気圧』を読みました。第13回ハヤカワSFコンテストの優秀賞受賞作です。

猛烈な温暖化で灼熱地獄と化した未来の地球。各地に突如出現した繭のような大規模シェルターによって、全人類の0.5%が辛うじて生き残った。人類は環境回復の見込みがない地球を捨てて火星の地球化を試みるが、それには高温環境に適応した女系民族〈結晶の民〉が作り出すある物質が大量に必要だった。

硬派なSFでありながら、まるで神話のように壮大な世界観でした。再読のたびに新たな発見があり、構成の緻密さには最後の1ページまで驚かされます。

もしも続編があるならば、まだまだこの世界を堪能したいですね。

#読了

2 months ago 15 0 0 0
辻村七子著『博士とマリア』

辻村七子著『博士とマリア』

辻村七子氏の『博士とマリア』を読みました。古びた医療船で助手ロボットのマリアIIと診療の旅を続ける、ちょっと偏屈な博士のお話です。

物語の舞台は、温暖化による海面上昇で陸地の多くを失った24世紀。世界は超巨大企業に支配され、労働者は劣悪な環境での暮らしを強いられています。

家族や仲間、大切な何かを守りたい。命を賭して「生き続ける」ことを選んだ人々を医療で支える博士を軸に、彼と関わる人々の視点で描かれた連作短編となっています。隙間時間の併読にも丁度良いですね。

博士とマリアIIの関係性の秘密も、意外性があってとても面白い。

ディストピアな世界観が苦手な人でも楽しめる一冊でした。

#読了

2 months ago 18 0 0 0
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キャシー・クレイマン著『コンピューター誕生の歴史に隠れた6人の女性プログラマー』

キャシー・クレイマン著『コンピューター誕生の歴史に隠れた6人の女性プログラマー』

キャシー・クレイマン著『コンピューター誕生の歴史に隠れた6人の女性プログラマー』を読みました。

大砲の弾道計算をするために集められた6人の女性が、世界最初の汎用電子計算機「ENIAC(エニアック)」のプログラマーになる過程を描いた実話です。

1945年当時、もちろん便利なプログラミング言語などなく、親切な解説書もありません。ENIACの実物を見ることすら許可されず、与えられたのは大きな回路図のみ。そんな苦境の中でも懸命に資料を読み込み、手探りでプログラム方法を次々と考案していく様は小気味良いですね。

時代の転換点に立たされ、それでも楽しく仕事をする6人の女性の姿が印象的でした。

#読了

3 months ago 18 1 0 0
島田真琴著『美術館・博物館の事件簿』

島田真琴著『美術館・博物館の事件簿』

島田真琴氏の著書『美術館・博物館の事件簿』を読みました。本書は小説ではなく、美術品をめぐって世界各国で実際に起きた事件の記録です。

美術品の非公開は「知る権利」の侵害になるか。所有する建物への落書き(ストリートアート)を消すのは著作権法違反になるかなど、16の事件を紹介。

一見すると華やかで美しい美術館・博物館が抱える、所有権や著作権をめぐる争い。その対立する主張について、司法がどのような根拠で判決を下したのかが見どころですね。

本書によると、フランスでは著作物を「パロディ」として利用することが法律で認められている、とのこと。
国によって異なる著作権の価値観も、面白い所ですね。

#読了

3 months ago 18 0 0 0
ディミトラ・パパギアーニ/マイケル・A・モース著『ネアンデルタール人再発見』

ディミトラ・パパギアーニ/マイケル・A・モース著『ネアンデルタール人再発見』

ディミトラ・パパギアーニ/マイケル・A・モース著『ネアンデルタール人再発見』を読みました。

本書は原著の第3版の翻訳本です。初版は2013年で、2015年、2022年と版を重ねるごとに新情報で改訂されており、ネアンデルタール人についての近年の研究結果が一冊にまとめられているのは便利ですね。

7章ではメディアやフィクションに登場するネアンデルタール人の描かれ方について、その変遷が考察されています。人類学の学術書としてはユニークな視点で、とても興味深く読めました。

ネアンデルタール人と聞いて「原始人」をイメージしてしまった人は、本書で知識のアップデートをしてみてはいかがでしょうか。

#読了

3 months ago 14 0 0 0
エドワード・D・ホック著『フランケンシュタインの工場』

エドワード・D・ホック著『フランケンシュタインの工場』

エドワード・D・ホック著『フランケンシュタインの工場』を読みました。原著は1975年の作品で、21世紀初頭が舞台のクローズド・サークル・ミステリーです。

カリフォルニア湾に浮かぶ孤島の研究施設。国際低温工学研究所の秘密実験により複数の人間の臓器、脳、そして30年間冷凍保存されていた青年の体を組み合わせてついに蘇生に成功する。直後、実験のために集められた10人の医師や関係者らが、何者かに次々と殺害される。

いやあ、これは盆と正月が一緒に来たような御膳立てですね。
50年前に書かれた近未来のお話ですが、SF的なギミックを用いず、ホックらしい古典的で普遍的なミステリーとなっていました。

#読了

3 months ago 11 1 0 0
ジョン・スコルジー著『怪獣保護協会』

ジョン・スコルジー著『怪獣保護協会』

ジョン・スコルジー著『怪獣保護協会』を読みました。コミカルで軽快な怪獣SFです。

並行世界の地球に怪獣がいる。
ある現象により並行世界との次元の障壁が薄くなり、そこに偶然にも身重の怪獣と、怪獣の悪用を企む億万長者がいた…。

怪獣と言えば大都市でビルを壊して大暴れが定石ですが、本作では暴れません。タイトルの通り怪獣を保護するお話。研究者たちの怪獣研究の日常を描いています。

著者のあとがきによると、本作は「ポップソングだ。」とのこと。狙い通りで、複雑過ぎないSF設定と分かりやすい勧善懲悪ストーリーは、ファミリー向けの正月映画を観たような読後感。

お正月に気軽に楽しめる一冊ですよ。

#読了

3 months ago 18 0 0 0
内藤了著『アポピスの復活』

内藤了著『アポピスの復活』

内藤了氏の『アポピスの復活』を読みました。微生物研究室特任教授・坂口信シリーズの第2弾です。

いわゆるバイオハザードもので、未知の有害な微生物と戦う研究者たちを描いています。"微生物研究×ホラー"という謳い文句ですが、いたずらに恐怖を煽るような演出やオカルト的・超常的な展開はなく、リアリティーのあるサスペンス・ミステリーですね。

主人公は66歳になる地味な学者。全責任を一身に負い、国民を、大切な人たちを守るために奮闘する。おじさんたちが活躍する一冊です。

シリーズ未読の方は、ぜひ第1弾の『メデューサの首』から読むことをお勧めします。その方が最後の展開で、より胸が熱くなりますよ。

#読了

3 months ago 13 0 0 1
イアン・ファーガソン&ウィル・ファーガソン著『ミステリーしか読みません』

イアン・ファーガソン&ウィル・ファーガソン著『ミステリーしか読みません』

イアン・ファーガソン&ウィル・ファーガソン著『ミステリーしか読みません』を読みました。カナダ人の兄弟作家によるコミカルなコージーミステリーです。

かつてテレビドラマの探偵役で一世を風靡した自称スター女優のミランダ。しかし身勝手な行いから仕事を干されて15年。エージェントがやっと見つけた便秘薬のCMも、プライドが邪魔をして断る始末。
破産寸前の状況を打開すべく、ハリウッドからはるばる別居中の夫が住む田舎町へ赴くも、あろうことか地元のアマチュア劇団に参加する羽目に。挙げ句の果てには舞台上で命を狙われることに…。

暴力や重苦しい話はありません。
辛い話が苦手な人にもお勧めの一冊でした。

#読了

4 months ago 13 0 0 0
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山田彩人著『千年ゲーム』

山田彩人著『千年ゲーム』

山田彩人氏の『千年ゲーム』を読みました。

現実世界のようにリアルな仮想世界で遊ぶゲーム。設定はSF的ですが、技術的な説明や理由が語られないまま現実とゲームの境界が曖昧になり、ゆっくりと現実が壊れていく過程を描いたホラー小説と言えそうです。

読者も主人公たちと同じ目線に立たされ、今いる場所が現実なのかゲームなのか分からないまま物語に振り回されます。

映画『インセプション』では「トーテム」という判別装置を使って、ここが現実なのか夢の中なのかが分かりました。本作にはそんな判別の術がなく、ゲームを終えても今いる場所が確かに現実であるという自信を持てないまま現実を生きる恐怖がありました。

#読了

4 months ago 16 0 0 0
佐藤翔著『図書館を学問する』

佐藤翔著『図書館を学問する』

佐藤翔氏の著書『図書館を学問する』を読みました。

図書館学者である著者が、図書館学という学問について実際の研究を例にユーモラスに教えてくれます。ブログのような親しみやすい文章が読みやすいですね。

本書で紹介していた研究は統計的な分析によるものが多いのですが、中には視線追尾装置の映像を1コマずつ解析して「人は本棚のどこをよく見るのか」を調査する研究もあり、こうした地道な努力には頭が下がります。

「図書館はなぜ月曜日に休館しているのか」という研究では、どんなに調べてもなぜか明文化したものが見つからないというのも不思議で面白い。

それにしても、世の中には色々な学者がいるものですね。

#読了

4 months ago 31 5 0 0
塩谷歩波著『純喫茶図解』

塩谷歩波著『純喫茶図解』

塩谷歩波氏の著書『純喫茶図解』を読みました。前著『銭湯図解』に続く図解シリーズの第2弾です。

本書は、実在する純喫茶を測量し「アイソメトリック」という建築図法で俯瞰的に描いた、少し変わったイラストエッセイ集です。手描きのぬくもりがある立体的な俯瞰図は、ただ見ているだけでも楽しいですね。
棚の小物や床のタイルにまで細かく書き添えられた説明が、想像を広げてくれます。

イラストにはコーヒーを飲みながらくつろぐお客さんや、そこで働く店員さんが生き生きと描かれており、人々の会話や人となりを想像すると時間を忘れて眺めてしまいます。

実際に店舗を訪れて、本書と見比べてみるのも楽しそうですね。

#読了

4 months ago 15 0 0 0

有栖川有栖氏の『山伏地蔵坊の放浪 新装版』を読みました。

いつものスナックに集う飲み仲間。地蔵坊と名乗る山伏が解決した(とされる)事件について語るミステリ小説です。地蔵坊が事件の詳細を語る出題編、飲み仲間の推理合戦、そして回答編。いわゆる安楽椅子探偵の構成ですね。

飲み仲間は地蔵坊の話を「ほら話だろう」と思っているため、殺人事件にもかかわらず深刻になりません。無理のあるトリックさえ「ほら吹きだなー」と受け入れてしまう自分がいて不思議な感覚。

一話完結なので空き時間に少しずつ読めるのも良いですね。
地蔵坊のモデルであり、ミステリ評論家の戸川安宣氏による解説も大変勉強になりました。

#読了

4 months ago 11 0 0 0

川添愛氏の著書『パンチラインの言語学』を読みました。

「パンチライン(punchline)」とはジョークのオチや決め台詞を意味する英語。例えば「欧米か!」や「まだ助かる、マダガスカル!」であったり、「真実はいつも一つ!」や「I'll be back.」などなど。かなり範囲の広い言葉ですね。

本書ではそのようなアニメや映画、ドラマなどパンチラインを題材に、言語学者としての分析をしています。
しかし、著者のまえがきにもありますが「エンタメ8割、言語学2割」ぐらいの配合とのことで、言語学の勉強として読むものではなさそうですね。

川添先生の愉快な国語の授業を受けているような一冊でした。

#読了

5 months ago 10 0 0 0