Kylie Dailey/Passing Through
ナッシュビルのSSW。
ゆったりとした曲調で、A・ギターとそこに重なるハーモニカ、オルガンなど、フォーク/カントリーテイストの曲が中心。深みがある滋味のある声や、モダンな響きのピアノ、弦、菅の入れ方に魅かれる。
youtu.be/TM4XTNISnLk?...
Posts by 三月の水
最近聴いているアルバム、
Yaya Bey/Fidelity
ブルッリクリンのミュージシャン。
R&B、ジャズ、レゲエに渡る曲と、幾重にも重なり交錯する声たち、柔らかなエレビの音、要所要所に効果的に鳴るホーン、小気味よくリズムを刻むE・ギターと軽快に動くペースといった演奏のよさ。リラックスでスタイリッシュな佇まいの魅力。
youtu.be/c5nz-1xyHO0?...
ースーザンはそれを聞いて笑ったーというより、それは乾いた苦い鼻息にすぎず、面白かっているわけではない。
「このあたりでは本人の言うとおりの人間なんかひとりもいないわ」
彼女は立ち上がると、バー・カウンターに戻り、別な新たな飲み物を新しいグラスに注いだ。
それから話し始めた。
イアン・ロジャース『魔都シカモア」
異次元への出入り口がある世界という設定の物語。前半は軽口を叩きながらのハードボイルドの軽妙さから、中盤のバディものアクションに、、そして後半にかけて設定を生かしたサスペンスへと、テイストを変えつつ動いていく物語が面白い。
そして、思わぬツイストの後の謎解きと緊迫感ある展開に目が離せない。特に、終盤のアクション描写の速さに息が詰まる思い。
長編としてはシリーズ一作目とのことだが、同じシリーズものの短編があるので読んでみたい。
Pome Shih Tzu、白と枝@ キチム
一年ぶりのPome Shih Tzu。
ギター、キーボード、チェロ、スティールパン、トランペット、アコーディオンと多彩な音色と清心な声/コーラスの変わらない心地よさ。そして、叙情、諧謔、ユーモア、メランコリックな曲の魅力も。新曲も聴けた。
「白と枝」は、女性のSSWの透明感のある声とインティメイトな歌詞。ギターで弾き語りる卓越したコードワークに驚き、その動きをずっと目で追う。
こうしたライブの場で新たにミューシャンを知るのは楽しい。
アンコールの「白と枝」も加わっての祝祭感あふれる「イパネマの娘」を聞いて、土曜日のまだ明るい夕夕刻の吉祥寺時の街へ
それが開催されるまでの、当時の時代背景なども含めての物語をいま見ることができるのは、興味深くも感慨深い。
また、スタンダードの演奏については懐疑的だったキースが、後年、スタンダードトリオの結成に至る経緯も知りたくなった。
『1975年のケルン・コンサート』
まだ擾乱の60年の余震が残る時代のなかでツアーのブッキングを始める高校生のヴィラと、興隆するロック劣勢のジャズにあって苦境をかこつキース。いつも階段を駆け上がる疾駆しているようなヴェラと、車で八時間かけてケルンへ移動する(漆黒の夜のなかヘッドライトが光り、そして薄明の中を走る車を上から捉えるカメラの美しさ)疲弊したキース。
この対照的な二人が交錯した一瞬に生まれた美しい演奏は感動的。
冒頭のまるで星が降ってくるようや煌めくピアノの音が衝撃的だったこのコンサートのライブアルバムは、長年の愛聴盤。
Orchid Mantis/Sincerity
アトランタのThomas Howardのプロジェクト。
淡々とリズムを刻むE・ギターをバックにつぶやくような物憂げな声が醸し出す儚げな表情に引き込まれる。
一曲参加のオスロの女性SSW Sunnivaのアンニュイでメランコリックな声が加える色彩感も魅力的。
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最近聴いているアルバム、
Les Imprimés/Falling Foreward
ノルウェーのMorten Martensによるプロジェクト。
ソフトロック、ネオソウル的テイストを基本に、(厚いコーラス、ダークなギターリフなどを効果的に配して)夢幻的、高揚感/疾走感、開放的なリゾートを感じされる多彩な曲が心地いい。
全体として、ポップで軽快、少し憂いを含んだ印象が残る。
youtu.be/ZlHXajkY5PI?...
ーあれはこのようにしてはじまったのでした。とにかく、このときの私たちが若かったことを、忘れないでいただきたいのです。あそこに下りていく前にマーティンのいったことばが、いまでも耳の奥で響いてています。「これは人生の真実を知る実験なんだ」(中略)私たちが彼の二面性を のことをよく考察していれば、後に起きることの幾分かでも予測できたかもしれません。
ガイ・バート『体験のあと』
地下室に閉じ込められた5人の高校生についての物語。三人称で語られる閉じ込められた状況について語る部分と、後年に、その時のことを思い出し書いている一人称の部分が交互に繰り返される。
過去と現在が交互に語られる構造は、「ソフィー」と同様なので今度は驚かされないように)慎重に読み進める。
しかし、やはりソフィー同様(とはいえテイストは異なる)衝撃が最後の章に。ソフィーでは、一気に世界がひっくり返るようなものだったが、こちらこれまでの語りの部分をじっくりと検証しつつの、少しづつ真相がわかってくる巧みさ。
そして、オープンエンディングにより残る心の痛み。
minasdaisuki @ 阿佐ヶ谷Roji
ミナス・アルゼンチン音楽研究会によるDJイベント。
Sara Sabahを知り、Cyrille Aimée、Voision Xi、ウワノソラなど以外な曲を織り交ぜつつ音楽を聴く日曜の午後の心地いいひととき。
Fabiano Do Nascimentoのカヴァーなどの高揚感あるミニライブ(松村拓海with ryo sugimoto & yuukitakami)も。
第一回が2019年のコロナ禍前だった、そんな感慨を抱きつつ、その時の、そして今日のZINEを読みつつ、また音楽にひたる夜。
『ライスボーイ』
母子のバンクバーへの移住と韓国への帰郷と、物語は起伏があり波乱に満ちている。一方で、屋内の会話などでの、まるで(存在しない)第三者の目線のように興味あるものを回り込むようや長いショットが醸し出す緊迫感、不意に遠景から人物を捉える(仰角で橋に佇む人物の、黄金色の田圃をゆっくりと歩いていく二人)、窓から差し込む光がつくる陰影のある屋内、山並みに射すおだやかな光の美しさ、アンビエントな音楽などクールな佇まいの魅力。
また、韓国への帰郷してからの息子ドンヒョンの次第に穏やかになっていく表情や、韓国への帰郷という物語の分水嶺で、(断ち切るように)不意に映画を終わらせるあたりも心に残る。
Sinedades/De Par en par
イタリア人シンガーのエリカ・ボスキとアルゼンチン人ギタリストのアグスティン・コルネホのデュオ。
スタジオでライブ録音での声とギターの演奏は、(YouTubeでその模様が見ることができるがが)リラックスした雰囲気で生々しく優雅。
ゼ・イバラ、マガリ・ダッチラなどが参加。
youtu.be/BO1V0Y8nW40?...
最近聴いているアルバム、
Lucas Delgado/Abriendo
カタルーニャのピアニスト/コンポーザー。
前作は、コントラバスとデュオのジャズを基本にシルビア・ペレス・クルス
が2曲参加。今作は、全曲に歌手をフューチャーして、ヴィヴィトなリタ・パイエス、
じっくり聞かせるメリチェイ・ネッデルマン、叙情的な余韻の(アカ・セカ・トリオの)
ファン・キンテイロなど魅力的なものになっている。
youtu.be/ItLjjkYrVaU?...
ージェイムス・テイラーはほら、細野さんのエリアだからね。いっさい近づかなかったわけだよ。
キャロル・キングも自分で〈イッツ・トゥー・レイト〉を流行らせていたでしょ?驚いたよ。キャロル・キングという名前を聞いて。なんだよ、今までどうしていたんだ、お前! お前だったのかよ、だよ。(中略)そらに細野 小川西さんはいち早く気がついて、これからはシンガー・ソング・ライターで行く、と。ただ、それは同時に、ディス・バンドしていく、解散へと向かう、そういう傾向も見せていたわけだよ。
萩原健太『幸せな結末 大滝詠一ができるまで」
FENをテープ・レコーダーでタイマー録音をしてフォー・シーズンス、ビーチ・ボーイズを発見し、レコードは作曲家別に仕分ける話から、上京して細野晴臣(初めて家に遊びに行った時、挨拶よりも先に「ヤング・ブラッ」ズのシングルに反応)をはじめ芋蔓式に(林達夫など後に共演するなどの)人たちと出会い「はっぴいえんど」結成に至る経緯、日本語ロックに対する当時の思いなど、この本で初めて知るエピソードが多く、それがいかにも大滝詠一的と思わされるのが面白い。
ー「何かあったか?」
「答えがひとつ、疑問がいくつか、多少のパラノイア、それにアイデアもひとつ浮かんだ」
「それはすごい。ビールか何か要るか?」
「ビールはありがたい」
古い革張りのソファにかけているシトロンに、ベールが缶ビールとグラスを渡した。
ロス・トーマス『悪党たちのシチュー』
さまさまな分野のプロフェッショナルが、その状況、目的により手を組む。とはいえ、それはあくまでも目的達成のためであり、そのためには裏切りも厭わないというブロットと、洒落たセリフ、服装などのディテールの粋な描写というロス・トーマスの魅力が横溢した作品。
表面上のストーリーの裏で、各々の人物の思惑による見えないストーリーが走っているため、常に何か不穏なことが起こりそうな気配の魅力。
この作品に続いて、女刑事の死、五百万ドルの迷宮』と充実した作品が続く。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
次々に降りかかるアクデントを、試行錯誤しつつ乗り越えていく、原作の魅力であった「試行錯誤」な部分は省略されているが、その分テンポの良さと、失った記憶を少しつづとり戻していく過程と現在の(そして人間味を増していくロッキーと冷静なエヴァ・ストランド)の対比が際立つ面白さに。
また、セキナイトをはじめとした読書では得られないSFの絵的な、またビードルズの曲が重なった時の音楽的な高揚感も。
Vinnie/Who Slow and Kind
デンマークのSSW
リラックスした曲調に涼しげな声で、フォーク・ロック、ソフト・サイケ、70年代のSSW、ボサノヴァ、ジャズなど(夏の海の喧騒と静けさをどこか感じる)多岐にわたる曲を。時に入るビーチボーイズを思わせるコーラスもとてもいい。
youtu.be/d-_F_EMrxuw?...
最近、聴いているアルバム、
Konradsen/Hunt, Gather
ノルウェーの男女のデュオの3rd
低い声とときおりまじるフォルセット、くぐもった音色のピアノ中心の隙間のある音によるクールな佇まい。不意に差し挟まるSE、ノイズ、厚いコーラスによるアンビエントな手触り。Gia Margaret参加の幽玄な曲といった多彩な魅力。
youtu.be/wehPJVXJ7eU?...
トム・ミッシュの新しいアルバム(メランコリックな)Full Circleを聴きながら、
youtu.be/mKP-ghq29AQ?...
年度最後の日をなんとか終え、いささかの開放感から諸々寄り道をして、
イアン・ロジャーズ/魔都シカモア
萩原健太/幸せな結末 大滝詠一ができるまで
福田尚代/あわいのほとり
小森はるか他/佐藤真の不在との対話
石倉和香子編訳 エミリー・ディキンスン詩集/斜めに射し込む光、
松浦寿輝/川の光、
野坂昭如/雪暮れて雪、
平岡正明/風太郎はこう読め、
映画読本清水宏、
(向井山朋子の演奏が好きなのだが)AHolt、Wieringa/Canto Ostinatoを入手。
ーもしページから言葉が失われていたとしたら、もし物語がいまは語られていないとしたら、それはわたしがもう一度はじめられるということだった。エドウィンのコテージにいたときから一年以上が経っており、私の人生で原稿のなかで記述されていないことがたくさん起こっていた。
クリストファー・プリースト『不死の島へ』
自らの人生を見直すために自伝的な作品を書いている現実と、舞台にした架空の夢幻諸島での各々の出来事が並行して語られる。
そして、次第に現実/虚構が、折り重なるように侵犯し始め、どちらが現実的でどちらが虚構なのか、その区別が判然としなくなる。
さらには記憶にまつわる出来事が絡み、物事は三重に入り乱れ錯綜していく。そのあたりのぞくぞくするような面白さと、最後の一文の切れ味がたまらない。
同じシリーズの短編が収録されている『限りなき夏』も再読したくなる。
(少し遠いけど館内から海が見えたりと好きな)葉山館の「内間安瑆・俊子展 色を織り、記憶を紡ぐ」のフライヤーがあり、行ってみたくなる。
福田尚代 あわいのほとり@ 神奈川県立近代美術館鎌倉別館
「漂流物/波打ち際」と名付けられた消しゴムの彫刻、回文のプロジェクション、女性の名前が刻印された色鉛筆の芯の彫刻「煙の骨」、ほぐされた本の紐、少女漫画のコラージュなど、緩やかにブッキッシュといえる(この言葉で括れるところと、はみ出すようなところがある)展示たちに魅了される。
なかでも本の中から一行だけ抜き出し(例えば、オースター/幽霊たちからは、「一言一句書き写しているのかもしれない。あるいはひょっとしてそれはことばではないかも」)折り畳まれた頁から、その一行が立ち現れる本のシリーズが圧巻。
ホン・サンス「正しい日 間違えた日」
ほんの少しの会話、仕草の違いから二人の関係が最終的に全く違うものになる二つエピソード。
久しぶりに見ると分岐点となる場面でのキム・ミニの表情/演技が素晴らしい。
また、10年前の作品の改めて見ると、ズームイン/アウト、パンがふんだんに使われていることに驚く。特にズームインのタイミングは見事に。
今回のホン・サンス月刊は、併映作のチョイスが秀逸で、「自然は君に何を語るのか」は、正しい/間違えた日のどちらだったのか、などとも考えてしまう。
ホン・サンス『自然は君に何を語るのか』
偶然から恋人の家族(父母、姉)の家に泊まることになった詩人ドンファの1日。
最近は、食事のシーンで全員を収めカットを割らずに撮ることが多いのだが、今回はカットを割る度に会話が、関係が気まずくなっいく当たりのつくりの巧みさが秀逸。
背後には、ついにはドンファの屈託が爆発してしまい、そこから翌朝のジュニとの別れの際には不意に彼女からを抱き寄せてしまうまでのドンファの感情の軌跡を丁寧に描く(珍しく)エモーショナルなシーンで感動的。