Artomyces yunnanensis
基準標本:中国,雲南省,標高2500 m,2018年7月1日。
単生から群生し、亜熱帯の針葉樹と広葉樹の混交林にある腐朽木に生える。
Artomyces yunnanensis は、担子器果の基部が紫がかり、上部はやや白みを帯びていること、そして非常に細かい疣状の突起を持つ広楕円形の担子胞子が特徴。薄壁シスチジア(leptocystidia)を欠く。
"Artomyces colensoi"として登録された屋久島産の配列(AB509661)が同一クレードに位置しており,日本での分布が示唆されている。
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Artomyces pteruloides
基準標本:中国,雲南省,標高2400 m,2023年6月19日。
亜熱帯の針葉樹と広葉樹の混交林、あるいは針葉樹林で、腐朽木上に単生から群生。
A. pteruloidesは形態的にニュージーランドとオーストラリア南部に分布するA. colensoiに似る。しかし、A. colensoi は乾燥時にほぼ黒色に変化する非常に濃い色の担子器果を呈し、本種のように先端部が淡色化しない点で異なる。
屋久島の試料(AB509637)および岡山の鳶尾塚古墳の土壌DNA(MT596194)の配列が同一クレードに位置しており,日本での分布が示唆されている。
Cai, Q., He, S., Li, G. M., Fan, X. P., Li, Y. C., & Yang, Z. L. (2025). The genus Artomyces (Auriscalpiaceae, Basidiomycota) from the Gaoligong Mountains and adjacent areas, southwestern China. Mycologia, 117(3), 516–531. doi.org/10.1080/0027...
フサヒメホウキタケ属は2025年時点で18種が記載されており,東アジアからは7種が分布しているとのこと。
食用キノコとして有名なヒラタケ(Pleurotus ostreatus)は,菌糸が線虫を捕食することでも知られている。
ヒラタケが線虫をどのように殺しているのか不明であったが,原因物質は菌糸が作るトキソシストと呼ばれる球形の構造に含まれる3-オクタノンという脂肪族ケトンとのこと。
3-オクタノンは線虫の細胞膜の完全性を損なわせ,ミトコンドリアを肥大化させることで死に至らしめるようだ。
Lee et al. (2023)
doi.org/10.1126/scia...
#nematode #Pleurotus #線虫捕食菌
Bryoclavula(コケノコダマタケ属)の二種目となるB. dryalisepipluteaが米国テキサス州から記載された。
種小名のdryalisepipluteaは"elf on a shelf"との意味で,コダマとelf(妖精)という点で日米で似たような命名だ。
基準種B. phycophilaとの違いは胞子サイズと発生基質で,B. dryalisepipluteaは胞子がより長く(6.8–7.5 mm),土壌から直接生えるようだ。
Quedensley et al. (2024)
doi.org/10.1639/0007...
#basidiolichen #lichen
IMAI, Ann. Myc. XXXVIII, 270, 194.
Annales Mycologici 38 (1), 1940 (published 10 February 1940)
Imai, S. The Geoglossaceae of Norway. pp. 268–278.
www.cybertruffle.org.uk/cyberliber/5...
コケヒメカンムリタケ Bryoglossum gracile
外観はカンムリタケ属 Mitrula やヒメカンムリタケ属 Neolecta に似るが異なる系統に位置。
日本では1941年に今井三子が八甲田山産の標本を基に Gymnomitrula gracilis の名前で報告。
Imai, S. (1941). Geoglossaceae Japoniae. Journal of the Faculty of Agriculture, Hokkaido Imperial University, 45(4), 155–264. hdl.handle.net/2115/12738
エゾシハイタケ
Trichaptum laricinum (P. Karst.) Ryvarden
-> Pseudotrichaptum laricinum (P. Karst.) Y.C. Dai, Yuan Yuan & Meng Zhou
コゴメウスバタケ
Trichaptum parvulum (Yasuda) T. Hatt. & Ryvarden
-> Pallidohirschioporus parvulus (Yasuda) Y.C. Dai, Yuan Yuan & Meng Zhou
Trichaptum durum (Jungh.) Corner
-> Nigrohirschioporus durus (Jungh.) Y.C. Dai, Yuan Yuan & Meng Zhou
ウスバシハイタケ
Trichaptum fuscoviolaceum (Ehrenb.) Ryvarden
-> Hirschioporus fuscoviolaceus (Ehrenb.) Donk
シハイタケ
Trichaptum abietinum (Dicks.) Ryvarden
-> Hirschioporus abietinus (Pers. ex J.F. Gmel.) Donk
ハカワラタケ
Trichaptum biforme (Fr.) Ryvarden
-> Pallidohirschioporus biformis (Fr.) Y.C. Dai, Yuan Yuan & Meng Zhou
シラゲタケ
Trichaptum byssogenum (Jungh.) Ryvarden (そのまま)
シハイタケ属(Trichaptum)が大幅に改定されていた。
Donk (1933)のHirschioporusを復活させ,HirschioporaceaeとTrichaptaceaeの2科に分割。
Zhou, M., Dai, Y., Vlasák, J., Liu, H., & Yuan, Y. (2023). Updated systematics of Trichaptum s.l. (Hymenochaetales, Basidiomycota). Mycosphere, 14(1), 815–917. doi.org/10.5943/myco...
埼玉県立川の博物館(かわはく)で開催されていた「驚異の小窓~あなたの知らないカビの世界~」もぼちぼち回顧するか。
www.river-museum.jp/ex-post/%E9%...
#川の博物館 #かわはく #カビ #回顧 #菌類展
そろそろフィールドに出るべきか。
菌類の系統樹の基部には地衣類は存在せず,地衣類は子嚢菌門または担子菌門の内部にのみ存在している。基部系統にクローズアップしていくと,それはそれはまた深遠な世界が控えている……
#地衣類展 #菌類 #基部系統
入口付近には菌類全体の系統樹の特大ポスターが展示されており,地衣類が含まれる系統が強調されていた。地衣類は菌類の様々な系統に散在することが示されている。
加えて,菌類の各系統が隅々まで代表種の絵入りで表現されており,ここだけさながら菌類展の様相を呈していた。
#地衣類展 #地衣類 #菌類 #系統樹
島英治著『日本の国菌ーコウジキンが支える社会と文化―』をずっと探しているが,売っているところを見たことがない。再販の機会はないものだろうか。
佐藤博士の薫陶を受けた人物として,吉武和治郎氏が特集されていた。福岡の高校での活動時にコケの標本に地衣類が混ざっていたのが興味を持つきっかけとのこと。安田氏の『日本産地衣類図説』や朝比奈氏の岩波講座生物学『地衣類』を片手に調べていたとのことだから筋金入りだ。佐藤博士との交流はイワタケについての質問から始まる。海岸のクロマツ林にフクレサルオガセが付いている光景は今も残っているのだろうか……
#地衣類 #地衣類展
茨城県博には地衣類研究者の佐藤正己博士の標本約2万点が収蔵されており,標本目録が博物館のサイトで公開されている。佐藤氏はサンゴゴケ類やムシゴケ類の研究を進めていたようだ。
植物標本目録 第3集 佐藤正己コレクション:地衣類
www.nat.museum.ibk.ed.jp/materials/co...
#地衣類 #地衣類展
より最近の地衣類化石としては,琥珀に封じ込められたものが展示されていた。新生代古第三紀(6600万年前から2303万年前迄)ともなると,琥珀内の地衣類化石が割と見つかっているようだ。
Kaasalainen, U., Schmidt, A. R., & Rikkinen, J. (2017). Diversity and ecological adaptations in Palaeogene lichens. Nature Plants, 3(5), 1–8.
doi.org/10.1038/npla...
#地衣類 #地衣類展 #化石 #琥珀
展示によると,最古の地衣類化石は古生代デボン紀(約4億年前)のものがイギリスで見つかっているとのこと。これはおそらくCyanolichenomycites devonicus(藍藻共生?)とChlorolichenomycites salopensis(緑藻共生?)のことを指しているのだろう。
Honegger, R., Edwards, D., & Axe, L. (2013).
doi.org/10.1111/nph....
#地衣類 #地衣類展 #化石
こちらは同じイワタケ属でも,国内では天然記念物に指定されているオオウライワヒダタケ Umbilicaria muhlenbergii。日本では青森県下北半島の縫道石山山頂部でしか見られないみたい。
本種は培養下で酵母様の形態を取ることが知られており,地衣化子嚢菌類の中では形質転換法が確立した種となっている。
doi.org/10.1007/978-...
#地衣類 #Umbilicaria
Bonito, G. (2024). Ecology and evolution of algal–fungal symbioses. Current Opinion in Microbiology, 79, 102452. doi.org/10.1016/j.mi...
短めだけれど,地衣共生以外にも触れている藻類-菌類間相互作用系の総説。
#lichen #endoparasite #alcobiosis #algicolous_endophyte #synthetic_symbiosis #polypore_epiphyte
Stable transformation of the unicellular lichenic green alga Coccomyxa solorinae-saccatae via electroporation.
doi.org/10.1007/s131...
地衣共生藻のCoccomyxa solorinae-saccatae SAG 216-12株において,電気穿孔法による安定的な形質転換法を報告。薬剤耐性遺伝子はカリフラワーモザイクウイルスのプロモーターで発現駆動。選抜にはハイグロマイシンBとG418が有効とのこと。
#共生藻 #photobiont #Coccomyxa
イワタケいろいろ。まさか饅頭にまでなっているとは思わなかった。ふるさと納税の返礼品にもなっているみたい。一度実食してみたいものだ。
モエギトリハダゴケ Pertusaria flavicans に関しては橙色になっており,そこそこ目立つ蛍光が出ていたように思われる。二次代謝産物の種類によって最適な励起光の波長が異なるのかもしれない。この種の場合,含有するチオファニン酸 thiophaninic acid によって UV+orange となるようだ。
#地衣類 #地衣類展 #UV
地衣類は紫外線照射で蛍光を発する特殊な二次代謝物を産生するものがいることが知られている。こうした地衣類に焦点を当てたブラックライトの小部屋が設けられていた。トキワムシゴケで描かれた顔が展示されていたが,顕著な蛍光を発しているようには見えなかった。おそらく安全性の問題で,励起光の波長が最適なものではなかったのだろう。
#地衣類 #地衣類展
アカミゴケの生活環の模型が展示されていた。あの赤い構造の内部に子嚢が形成されているのか。子実層の表面だけが赤色の色素を保有しているのはどのような意味があるのだろうか。この状態で子嚢胞子が射出されるのだろうか。拡大模型を見ると気になることが沢山出てきた。菌糸と藻類の絡みはいつ見てもいいものだ。
#地衣類 #地衣類展
ミツエタケ Arcangeliella mitsueae は,IndexFungorumでもMycobankでも現行名のままとなっており,ジャガイモタケ Heliogaster columellifer への変更はなされていないようだ。
www.indexfungorum.org/Names/NamesR...
Arcangeliella属自体はベニタケ科の所属であるが,基準種のA. borzianaはLactarius属に移され,今はLactariusのシノニムという感じか。
Nuytinck, J., Verbeken, A., Delarue, S., & Walleyn, R. (2003). Systematics of European sequestrate lactarioid Russulaceae with spiny spore ornamentation. Belgian Journal of Botany, 136(2), 145–153.