早く終わりたい
Posts by お耽美写真家Kay
第23章
アン、名誉の負傷をする②
明日から1週間帰省するので
その前にやって置かなければならない事を済ませ、少し遅い時間に病院に行った。
今日は、ベッドサイドに立つ前、病室に入った時からこちらを見ていた。
そばに立つと、寝間着が着崩れていて胸がはだけてしまっていたので、きれいに整えた。
意識があるのかないのかは分からない。
それでも、今日は分かっているのだろうと感じられる。
もんたんの動画を見せても、僕のほうを見続けていた。
ゆっくりと2度繰り返して話しかける。
妻の意識に届いているのか…
言葉で認識されるのか、イメージとして認識されているのか…
意識がないという定義が未だに分からない。
第23章
アン、名誉の負傷をおう
妹から電話があり
父親の具合がどうも良くないとという。
先週末に僕には黙っているようにという母には内緒で、入院したという連絡があった。
数年前に肺の難病が見つかったが、薬が合っていたようで余命宣告があったにも関わらずその宣告期限はとっくに過ぎていた。
コロナ期間も、なのでとても慎重に過ごしていた。
父と最後に会ったのは昨年、叔母の葬儀で帰省した時だ。
4月の終わり頃、GWに入る前に一度帰省しようと考えていたが、それが今になった。
明日の諸々の予約が取れたので妻の面会に行ってきた。
第22章
アン、お茶に招かれる
部屋に入った時には普通だった妻が
読み聞かせを始めようとする頃には
顔をこわばらせて、全身が真っ赤になるほどに力が入っていた
何が起こったのか分からずに看護師を呼ぶと、たまにこういう事があるという
手術をした最初の病院の看護師から
「分かってらっしゃると思いますよ」
と言われた
医師からは
「話しかけて何か反応があるからと言って意識があると思わないでください」
と言われた
帰り際に杖をつく男性とエレベーターで乗り合わせた
「分かっているか分かってないか分かんないのがきついんだよね」
その男性はそう言ってエレベーターを降りていった
第21章
新しい味つけ②
アンは新しく赴任した牧師夫妻のためにケーキを焼いておもてなしをしようとした。
しかしバニラで風味をつけようとしたところを手違いで痛み止めの薬を入れてしまい、変な味のケーキを食べさせてしまうことになったのだ。
部屋を飛び出してベッドに伏しているアンに、アラン夫人は優しい言葉をかける。
病室に着くとベッドが空だった。
面会に来ると入浴中だった事はこれまでも何度かあり、今日もそうだった。
待っている間にドライヤーの音が聞こえてくると終わりの合図だ。
赤らめた顔の妻は
少しずつ穏やかな表情になり、最後はキョトンとした無邪気な表情で、瞬きもせずに僕を見てくれた。
第21章
新しい味つけ①
ベッドサイドに立つなり反対側を向いていた妻が僕を振り向くように見た。
とても穏やかな表情で、顔色も赤らんでもなく青ざめてもいない、とても穏やかな面持ちで、それだけで僕はとても嬉しくなった。
プリンスエドワード島に新しい若い神父夫妻がやってくる話だ。
これまでのアンにとっては意地悪な神父が去ってしばらくしてからの話だ。
アンにとってもそのアラン夫人とはとてもよい関係を築いていく。
読み進める間、妻はずっと穏やかな面持ちで僕を見続けていた。
病室を出るまで
今日はずっと僕を見てくれていた。
イワナシ(五月花)が分からなかったので調べた。
季節柄ツツジやツバキを想像していたらツツジ科の花だった。
少し寒い地方の岩場に咲く花のようだ。
第20章
遠くまで行きすぎた想像
2月から面会の条件が変更になっていた。これまで30分だった制限が1時間に変更され、20:00まで面会可能になっていた。
いつも通り赤毛のアンを読み聞かせていたが一章をゆっくりと読み聞かせるのに十分な時間だった。
妻は終始赤らめた険しい顔をしていた。
途中で看護師の方が体位を変えに来てベッドのリクライニングを上げた。
第20章を読み終わり、顔を上げると険しかった妻の表情は穏やかになっていた。
マスクを外して妻の名前を呼ぶと、彼女は泣きそうな顔をして応えてくれた。
応えてくれたのだろうと思う。
聞こえてあるのだろうと思う。
見えているのだろうと思う。
第19章
「行った! 見た! 勝った!」④
ジョゼフィン・バリーはダイアナの叔母さんで、後にアンが進学するときなどにも力になってくれる、心強い味方の1人だ。
出会いは最悪で、ダイアナと2人でたまたま怒らせてしまったバリー夫人に謝るアンの態度に、裕福だが街で一人暮らしの夫人の心の孤独を溶かされた事で、バリー夫人とアンの間の関係は一気に良好になっていく。
病室に着いて入り口からベッドを見ると
ちょうど大きなあくびをしている妻が見えた。
大あくびをするとまた顎が外れてしまうのではないかと不安に思ったが、今日はそんなことにはならなかった。
エプロンと手袋を身に着けて中に入り妻の名前を呼んだ。
第19章
栄養管理計画書にサインして出した
もう何も見たくないが
そういうわけにはいかない
妻の体重は今30kg程度しかない
お風呂が終わり、2人の看護師さんに抱えられる姿が
とても軽く
とても痛々しかった
お風呂上がりで
スッキリしたような面持ちの妻が
今日は最初から僕が分かるようだった
読み聞かせをしている間に
僕は泣き出してしまい
それ以上読むことができなくなった
妻はそれを見て
分かるのか僕のほうを怪訝そうにずっと見ていた
分かるのだろうか
分からない
分からないけど立ち去るまで
ずっと僕を見ていた
僕は多分色んな場面で様々な間違いをしてきた
子供の頃から変わっていないような気もする
同じような間違い
面会に来たら
入浴中で、入浴から戻ってきて色々と整えていると、時々外れるらしく顎が外れていた。
看護師さんも何度か戻そうとチャレンジし、僕も試みたけど、すぐには戻らなかった。看護師さんの話では、自然に戻っていることが多いのでしばらく様子をみるとのことだった。
第19章①
穏やかな顔をしていた
熱もなさそうだった
最初はそっぽを向いていたが、話しかけているうちにゆっくりとこちらを向いた
話しかける声や目に映るものに対して反応できるまでに少し時間がかかるのかと思い、いつも反応があるまでは話しかけ続ける
花粉のせいか
読み聞かせている間僕の鼻がムズムズしてきた。
絶望するための理由を探してる気がする
弁護士との面会の後
妻に会ってきた
こめんとしか言えなかった
第18章
アン救助にかけつける④
ベッドサイドで声をかけても知らんぷりだった。
そんな事はよくある事で、何度話しかけても反応は同じだった。
でも、もんたんの動画を見せると、今日は分かるようだった。もんたんの動画や写真を見せると大抵は顔をこわばらせる。
話を読み聞かせ続け、挿絵を見せた。
急病になったダイアナの妹を助けた事でアンはダイアナの母親、バリー夫人から許され、ダイアナと一緒にデザートを作るところの挿絵だった。
妻はその挿絵を見て少し笑ったような気がした。
なぜだか今日はずっと僕を見ていた
目かあったまま
何分か、キョトンとした顔をしていた
しばらく頭を撫で、拘縮した指を握り
そして少し読み聞かせを始めてすぐに
身体をよじり始めた
見ると眉間にシワを寄せて
少し感情的な表情を見せていた
それでも何を考えているのか、何を感じてあるかは分からない
喜んでくれてると嬉しい
そう思うのは傲慢だなと言う思いがあり
ごめんと何度も言った
ごめんと言う言葉すら傲慢だと思えた
たった15分だけだったけれど
面会に行った
少し僕自身のなかで問題があり
2週間ほど
間が空いてしまった
良くない
毎日行くべきだ
第18章
アン救助にかけつける③
どんよりとした日、暖かくなってきたとは言え少し肌寒い。
妻は倒れる前も倒れた後も、37度前後の微熱が出やすい体質だった。
昔からそうだったのか、自律神経をおかしくしてしまったのかは分からない。
僕の生活スタイルが彼女に悪影響を与えてしまったのかもしれない。
そういう後悔が最近常につきまとう。
今日は分かるようだった。
最近は反応がない時が多く、僕の呼びかける声が届いていないような、そんな気になっていたけれど、今日は違った。いつものように名前を呼びかけると顔がこわばって泣きそうな表情を見せた。
読み聞かせを進めて顔を見やると穏やかな表情で僕を見ていた。
第18章
アン救助にかけつける②
病室にはいると
妻は凄く穏やかな顔をしていた
程なくして体位を変えるために看護師さんがやってきて
その処置をずっと見ていた
足の硬縮が以前にもまして進んでいるように感じた
タンを取る処置を見ていて以前よりもタンが絡まなくなったなと思った
とても苦しそうな顔を見せたが
病室を出る時間になる頃には
穏やかな表情に戻った
一瞬だけ
僕のことが分かったような表情をしたけれど
妻が何かを語ってくれることは
多分もうない
第17章
新しい興味③
漫画やドラマ、映画などのいくつかの描写を思い出すと
心が苦しくなる。
例えば「あしたのジョー」のカーロス・リベラだ。
街を歩いていると浮浪者に絡まれたジョーは、彼がかつてのライバルだったカーロス・リベラの見る影もないパンチドランカーに成り果てた姿だと気づき
「あの、閃光のようなジャブがこんなになっちまった…」
と呟くのだ。
ある時妻の職場で同僚の社員が妻をこう称した、
「うちのエース」
と、
妻は社長賞を何度か取るようなとても優秀な社員だった。
第17章
新しい試み②
呼びかけても
ずっとそっぽを向いて、こちらを向いてくれなかった。
ゆっくりと、でも、はっきりと声をかけ続けた。
もんたんの動画を見せると、動画のなかのもんたんとぼくの声を聞いた後でやっとこちらを見てくれた。
穏やかな顔だった。
しばらくすると同室の患者の方々へのタンを取る処置が始まり、隣のベッドの老婦人が何度も「助けて」と言っていた。
かなり苦しいのだろう。
妻は気管切開しているので声が出せなくなっている。
だから、助けてともやめてとも言うことはない。
妻の声を最後に聞いたのは8/6の朝9:00頃だ。今でも忘れることはない。
「怖い」
という言葉だった
第16章
ダイアナお茶にまねかれる③
夕方まで薔薇の植え替えをし、病気に行った。
病室にはいると少し顔が紅潮していたので多分微熱があるのだろう。硬縮で縮こまった手に触ると少し熱さを感じた。
声をかけるとこちらを向き、少しずつ表情がこわばっていった。
今日は分かるようだった。
もんたんの動画も見せた。
続けて泣き出しそうな顔になった。
第14章
ダイアナお茶に招かれる②
アンはダイアナをお茶に招いて、マリラから飲んで良いと言われたラズベリーシロップをダイアナに振舞った。ダイアナはとても美味しいと言って大きなコップに3杯もおかわりをした。アンはと言うと、初めてのお茶の招きにあれこれと落ち着かずにそのシロップを飲まなかった。次第にダイアナの様子がおかしくなり彼女は帰ると言ってきかずに帰宅することになる。
実はアンは瓶を間違ってダイアナにマリラ自慢のワインを飲ませてしまったのだった。
年明けから3回目の面会だったが今日初めてベッドサイドに病院からのバースデーカードが貼られている事に気がついた。
とても嬉しい心遣いだ。
第14章 ダイアナお茶に招かれる -そのひさんな顛末-① 昨年転院した新しい病院だが主治医が昨年末で退職されたそうで、新しい先生から引き継ぎのご挨拶と最近の経過を聞いた。 たんが絡んでいるようだったので看護師の方に処置してもらいながら、お二人から最近の経過を伺うことができた。 気になるのは、血圧は下がっていないが脈が40くらいの時があるそうだ。寝ている時に測ったからかもしれないと言っていた。 リハビリで時々座る事もあるようだが、硬縮の進行を止めるまでには至らない。 硬く丸まった手と足に触れ 髪を撫でながら何度も名前を呼びかける。 今日は少し笑顔を見せてくれた気がした。
第14章
ダイアナお茶に招かれる
-そのひさんな顛末-①
昨年転院した新しい病院だが主治医が昨年末で退職されたそうで、新しい先生から引き継ぎのご挨拶と最近の経過を聞いた。
たんが絡んでいるようだったので看護師の方に処置してもらいながら、お二人から最近の経過を伺うことができた。
気になるのは、血圧は下がっていないが脈が40くらいの時があるそうだ。寝ている時に測ったからかもしれないと言っていた。
リハビリで時々座る事もあるようだが、硬縮の進行を止めるまでには至らない。
硬く丸まった手と足に触れ
髪を撫でながら何度も名前を呼びかける。
今日は少し笑顔を見せてくれた気がした。
4年前の今日
妻が倒れ、出来るだけ一緒にいた。
第15章
アン学校へいく④
あけましておめでとう
本当は一昨日も昨日も病院の前まで行ったのだが
何故か目の前で引き返してしまっていた。
顔が紅潮していたのは、さっきお風呂に入ったからだと看護師さんから説明があった。
顎はやはり時々外れることがあるようだ。
まだ松の内までは馬の置物は置いておこうと思う。
第15章は少し長かったので今日読み聞かせ終わった。
先生に反発したアンの事を気にしてマリラはレイチェルリンド夫人の元を訪ね相談する。
リンド夫人は相談されるのが好きだ。
学校にこそ行かないもののアンの妄想話を聞くマリラは大声で笑ってしまう。
マシューもいつぶりか分からないほど珍しい笑い声だ
第15章
アン学校へいく
③
クリスマスリースをニューイヤーリースに置き換えた。
ささやかな馬の置物だけれど
これで新年を迎える用意はできた。
穏やかな顔だったし、フェイスサポーターもつけていなかった。
しかし感染症のせいでおそらくリハビリができていないのだろう。
身体が、少しずつ硬くなっているように感じた。
ヘッドサポーターをしていなかった。
今日は冷たい雨が振っていた。
クリスマスイブに一人でいるのは良くない。
少しだけ妻に会ってきた。
外れやすくなった顎のための
ヘッドサポーターを
今日はつけていなかった
看護師に聞くと、外れにくくなったので外してあるとの話だった。
サポーターをつけていることでかぶれやほかの不具合が生じることもあるだろうと懸念してた。
一旦は落ち着いたのかもしれない。
今日も朗読はしなかった。
もんたんの動画を見せた。
クリスマスが終わったら
お正月飾りだ
毎年遅いとなくなってしまうので
馬の置物を買った
妻は毎年、干支の置物を飾るのが恒例だったから
せめて病床だけでもお正月の風情を感じさせてあげたいと思うのだ
流石に元旦の面会は出来ないだろう
もんたんも居なくなって3年になる。
朗読はしなかった。
面会に行き、ナースステーションで今後の方針の相談をした。
あくびをするとどうも顎が外れてしまうのが癖になってしまったらしい。
病室に入るとまた顎が外れて、口内に唾液がたまってしまっている状態だった。
弁護士の先生にも電話で相談をした上で、今後の方針を決めた。
第15章の続きを読む余裕なく
30分が過ぎた。